全然関係ないアニメのファンがキンプリ見た
※めっちゃネタバレ
最初に、私がキンプリを見に行った最大の理由は「キンプリがavex pictures製作、テレビシリーズが存在する、上映時間が一時間ちょい、の劇場版アニメだったから」です。これだけ書くとなんじゃそりゃなのでもう少し背景を説明すると、私は元々avex製作のとあるアニメのファンです。厳密にはアニメが、というかアニメ版を含むメディアミックス作品群のファンなのですが、まあここは今回特に本題ではないので横に置いときます。
私の好きな作品はキンプリとはまったく関係のない作品ですが、キンプリと同じavexの製作で、昨年11月に劇場版が上映されました。製作が同じなのでその時の上映前予告にもキンプリの予告が流れていて、毎回正装ver=野郎5人の裸画像の前売り券が画面に映る度に場内がざわざわしていた記憶も鮮やかです。え…どういう事なの…というその印象が私とキンプリさんのファーストコンタクトでした。
(ちなみに、プリパラもプリリズも絵を見ればその作品だな~という事がわかる程度の知識しかなく、それぞれ詳しい中身は全然知りませんでした。どっかで「ヒロ様」というワードは聞いた事があったのですが、ヒロ様がプリリズのキャラだというのもまるで知りませんでした。何か女の子が歌って踊るアニメ、位の認識だったので、へー男の子のグループも居るんだなー、しかし何か様子がおかしいなこの予告、何だこのきゃるんとしたジャンプ、みたいな何か…そういう…)
私の好きな作品の劇場版は、昨年春先のイベントで劇場版の製作決定が発表されたのですが、その後特に音沙汰がないまま秋になり、一ヶ月も切ってから来月劇場版上映です、内容はシリーズの総集編です、という広報のされ方で、シリーズの総集編と説明されていたものの実際見たら中身ほぼほぼ2期(2クール目)の総集編でした。
私はどこに行っても所謂公式至上主義というか、公式の言う事だけが詔みたいなタイプのオタクなのですが、この2期が1期からすっげーガラッと変わって、作品の基本カラーがめっちゃポップな蛍光ピンクから彩度低い暗めの赤(血の色って感じ)になって、アニメ制作スタジオとスタッフとキャラデザと作品全体の雰囲気とカラーリング設定とキャラの性格と設定と乗ってる車の柄とナンバープレートとその他諸々がごっそり全部変更されていたりしたような何かそんなあれで、最初に1期を好きになった身からすると激変に始終戸惑いがありました。あちこちで1期の描写と2期の描写に明白な齟齬があるので、1期に対して原作至上主義な私と、2期も含めて原作至上主義で在ろうとする私とが自己矛盾を起こして大喧嘩を禁じ得ないのです。アイデンティティクライシスです。どんなに変わり果てた姿になっても君を愛してる、という気持ちと、それはそれとして君が変わり果てた姿にされた事へのやりきれなさが消えない…、という気持ちは普通に同居し得るよ、感情なんて一つじゃないんだ、みたいな何かそういうあれでした。
でも2期が嫌いな訳では全然ないし、好きなところいっぱいあるし、最終回のとあるシーン見ると未だに泣くし、ていうか好きとか嫌いそんなんじゃないというか公式がそう言うからには私の愛するあの子達の生きた人生は唯一無二それでしかないし、トータル全部ひっくるめて作品とキャラが本当に大好きです。トータル好きだけど無条件に全肯定とかも出来ないよ宗教じゃないんだよ、とか大好きだからって何も思わない訳じゃないよ寧ろ大好きだから思う所しぬほどあるよ矛盾にはツッコミだって入れたくなるわよ人間だもの、とか何かそういうクソめんどくせーオタク心ですすみません。
でも、でもな、ほんと正直シリーズの総集編って言うなら1期もっとちゃんと入れて欲しかったし、時間的にそれが無理であの内容なら最初から2期の総集編って言ってくれたらよかったじゃん期待させないで欲しかったって思ったし、第1話とか1クール目の終盤とかの主人公コンビの見せ場ちょっとだけでも見たかったよ…。ナレーションは最高だったけど総集されてる映像の中身が何て言うかこの作品のタイトルって何(以下略
…言い出すと冗談抜きで夜が明けるので話を戻します。
私の好きな作品は、最初は劇場版製作決定、というだけの発表で、総集編だとかそうじゃないとかの言及は一切されていませんでした。つまり「総集編です」とは言ってなかったけど「総集編じゃなくて新規アニメです」とも一言も言っていなかったですし、身も蓋もなくぶっちゃけると私自身、テレビシリーズの売り上げ的に新規に劇場版作る予算なんてないのでは…無理しなくていいのよ…とも思っていたので、総集編である事自体は十分予想の範疇内ではありました。でも、私も周囲の友人も、そんな予算あるの!?大丈夫!?内部に石油王が居るの!?と言いながら、新規アニメが見られるかもしれないという期待を持って劇場版の続報を待っていましたし、多分身近なところ以外でもそういうファンの方がいらっしゃったのではないかと思います。
なので、10月23日にもなってから(あまりの事に日付も鮮明に覚えてる)初めて「11月14日に劇場版公開、内容は総集編」と広報された時は、無い袖は振れないんだから総集編なら総集編で全然構わないので、それならそうと変に期待を持たせないように早く言って欲しかったし、ていうか仕事の休暇を取る都合とかあるから一ヶ月切ってから発表するのも勘弁してくれんか!!と呻きました。それはもう呻きました。公開初日に休みが取れる事が確定するまでは毎日おまえをころしてわたしもしぬ…(※比喩表現)みたいな気持ちで暮らしていました。結局初日は休み取れましたよかった。2週間、新規ナレーションと新規の主題歌とおまけアニメの為に劇場に通っていました。
作品が好きです。キャラが好きです。本当に大好きです。それを生み出して下さった制作サイドへの感謝があります。一個人で売上に貢献できる額が微力に過ぎる事に対して申し訳ない気持ちもずっとずっとあります。今もそうです。石油王になりたいです。でも同時、ひたすら振り回される事に対しての疲弊もありました。
予定が急とかは完全にこっちだけの都合なのであれですが、そんな事より、主人公の中の人自らインタビューの度「2期になったら急に性格が変わって~」って話を何度も何度もせずにいられないような事態や、特定キャラに対していじめじゃないです愛です、ってニュースで聞く言い訳みたいなフレーズが普通に目に入ってくる事態や、原案の先生のこの子はかれこれこういうキャラですってコメントと2期のその子の描写がまったく正反対になっていてコンセプト全否定かな!?って事態や、オーディションと本番のアフレコでキャラの設定がまったく違ってそれが声優さんに寄せてキャラ改変した結果そうなったって公言されてるような事態や、最初にイベントで劇場版製作が発表された時に原案の先生が「え?!?!?!?劇場版!!??!??!?!」みたいなコメントをしていた(マジで知らされてなかったっぽい)事態がしんどかったです。
劇場版の舞台挨拶でも、主人公役の声優さんのシリーズを総集編で見て振り返っての感想を聞かれて、持ち芸で茶化さず真面目に作品の話したら第一声「○○(別キャラ)の目線で振り返られてるなと思いました」とか主人公の中の人に何てこと言わせんの!?って思ったよ…。あと、その当日スタッフさんがキャラ弄りの色紙渡してた事にもめちゃくちゃ精神を削られました。悪意あっての事ではなく好意からなのは見ていてもわかりましたし、渡された御当人もとても優しいコメントをして下さっていたのですが、ツイッターでそれ見た私は正直その悪ノリがまったく笑えなかったし、多分一生忘れないし、10年位は傷跡にもならない生傷のまま引き摺る…。かさぶたにも出来ない。
誤解して欲しくないので強調しますが、「2期の総集編」として見ると劇場版の出来と構成はすごく良かったです。本当に良かったです。よくここまで、っていうすごく良い2期のまとめでした。構成・脚本には、本当に本当にありがとうの気持ちしかないです。ナレーションが最高に好きで好きで大好きで、私の好きになった1期と地続きの世界で、2週間それ見る為に通ってまったく惜しくなかったです。本当に良いまとめでした。良いまとめだったんですけど、だから総集する段には不満ないんですけど、そもそも綺麗にまとめるとそういう(=別キャラ目線で振り返られてる)構成になるまとめる前の元の2期って、それもう主人公交代してますよね!?本来の主人公の子は主人公扱いして貰ってないよね!?っって話であり。ちなみにその該当キャラのことは大好きだよ、その子の事は好きだけどそういう事じゃないよ違うよ全然違うよ…。
そういった、声優さんや原案の先生などの関係者さんや作品内のキャラクターに対する接し方に(少なくともそれらを方針として指示した名前も知らないどなたかについて)、対象への尊重や誠意、リスペクトを感じ取る事が私には難しかったです。いや、実際はあるんだろうけれど、あると思いたいんだけど、でもあまりこちらに伝わって来ないケースが多かったというか、愛情表現で好意ゆえですって言えば何してもいいかって言えばそうじゃないと思うし、大切にするのと贔屓するのもまた別の事だと思うのです。そんなつもりはないのかもしれないし、製作現場には製作現場の事情が色々あるのかもしれないとも思うのですが、それでも率直な感想としてしんどかったです。特に劇場版やるの知らせてないの冗談抜きで人としてどうかと思うぜ!?相手は作品の大元の産みの親の親御さんじゃないの!?何でそんな事になったの!!?何を思ってそんな無体を働いてたの!!?!?!?
春のその件の後、原案の先生が今回はちゃんと情報くれる、って発言されてた時は、あ、改善されたのかな…と思って本当にほっとしました。同時に今までどんっだけ情報が伝達されてなかったの…とも思ったけど…。
そんなこんな何はともあれ、私の里の劇場版は2週間の上映期間が予定通り終わり、暫くしてキンプリの公開が始まりました。そして、封切りしてから更に暫くして、キンプリがヤバい、キンプリがすごい、キンプリは良いぞ、という風の便りを聞くようになりました。この時の私のキンプリへの認識はと言えば、ぶっちゃけ「映画の時に前売り券画像の様子がおかしかった例の予告の映画」(ごめん)だったので、おお…?キンプリさんプチ流行ってる…??と不思議な気持ちになっていました。
そして、口コミはどんどん広がり、周囲の友達もプリズムの煌めきに呑まれ始めました。私がキンプリを見に行こうかなと思うようになったのは、この「身近な友達が見て何か楽しそうだったから」というのも大きいのですが、一番の決定打はキンプリの制作秘話を伝え聞いたり、スタッフさんのインタビュー記事を見たり、公式アカウントの宣伝動画を見たりしたことでした。
とりわけ心臓に刺さったのが「人気があったから劇場版が決まった訳じゃない」「作りたくて作った」「売れる見込みはまったくなかった」「赤字覚悟」「クビが賭かっていた」「総集編位の予算しかなかった」「上映時間一時間くらい」辺りのワードです。
何かもう隅から隅まで身に覚えがあり過ぎて、流れ弾でしにそうでした。寧ろ完全にめった刺しでした。完全に一方的な錯覚なのは重々承知の上で、それでもまるで他人事に思えませんでした。トドメにキンプリの製作は、私の好きなアニメと同じavexです。サラリーマンなのでクビが懸かっていた、と明言されている方はavexの社員さんです。それらの裏話は、あまりにもあんまりに圧倒的で身近なリアルでした。放送前はジャンフェスで天下のワンピース様と裏表の紙袋とか作られてた=プロモーションにしぬほどお金が掛かっていたはずの作品で一体何人の首が飛んだんだろうとか思うとまるで笑えませんでした。
実際どんなものなのかしら、と調べる過程でavex公式配信の動画も見て、応援上映動画や90秒でわかる(※実際は3分ある)動画はひたすら面白ぇなーとわくわくした気持ちで見ていたのですが、サプライズ発表会の様子の動画は、ファンの方はそりゃ嬉しいよね良かったなぁとほのぼのした気持ちになると同時、動画が進むにつれて言い様のないどうしようもない気持ちにもなりました。
劇場版決定!の報に沸く会場の歓声に、詳細は何もわからないままそれでもステージ上の画面に映し出された劇場版製作決定!の文字に、信じられなくて夢みたいで客席でボロボロ泣いて、イベント後は離れた座席に居た友人と顔を合わせるなり泣きながら抱き合って喜んだあの春を思い出して、画面の前で一人で泣きました。悲しいのか寂しいのか悔しいのか羨ましいのか愛しいのか憎いのかは自分でもよくわかりませんでした。
口コミで評判になって以降のキンプリの姿は、私の叶えられなかった夢そのものでした。新規アニメ且つ出来の良い劇場版が上映されて、新規のファンが沢山入って来てくれて、起死回生大逆転。私が自分の暮らす里で見たかった景色が、そのままそこに存在していました。
どんどん大ブームになっていくキンプリさんを遠くに見やりながら、自分が駄目だったからこそ誰かの夢が叶うのは良い事だなぁと眩しく思う気持ちと、羨ましさで泣き喚きたいような地縛霊になりそうな気持ちがずっと渦巻いていました。別に殊更に良い子ぶりたい訳でもいじけたい訳でもなく何でもなく、良かったなぁと思うのも羨ましくてしにそうと思うのも、どっちも本当の気持ちでした。
どうして私の好きなアニメはそうならなかったんだろう、そうなれなかったんだろう、何でそういう風にさせてあげられなかったんだろう、何が駄目だったんだろう、どうすればよかったんだろう、一ファンの私は一体あと何を頑張ればよかったんだろう、どこに何をどういう手段で訴えればよかったんだろう、もっともっと円盤の枚数積んでたらそういう未来が見られたんだろうか、本当はもっと何か出来たんじゃないだろうか、何かが違えば総集編じゃない劇場版が見られた現在が在ったんだろうか、何をすれば大好きな作品にもっと何かを返せたんだろう、新しい大好きなあの子達に会う事が出来たんだろう。
キンプリのサクセスストーリー聞く度にぐるぐるぐるぐる考えて考えて、だけど勿論答えなんか出る訳もなくて、もしかしたら春のイベントで劇場版製作を発表した時は新規アニメ作るつもりあったけど許可が出なかったのかな…とか予算が下りなかったのかな…とか何のソースもない憶測もいっぱい考えて、でもそんなもん真相は闇の中でもっと答えなんか出る筈もなくて、延々と堂々巡りでした。(ていうかキンプリさんが円盤まだ決まってないとか聞くと、本当うちの里は何で純粋100%の総集編でDVDのみならずBD発売が最初から決定していたんだろうな…やっぱり関係者に石油王が居るのかな…でも石油王も新規劇場版の予算は出せなかったのでしょう…)
そんな日が続いて、百聞は一見に如かず、実際にこの目で見たら何かの踏ん切りがつくんじゃないか、地縛霊にならずに済むんじゃないか、普通に映画として楽しそうだし、と思って、通常上映のチケットを取りました。
「avexの、赤字覚悟で、スタッフの首が飛びかねない状態で、総集編分の予算しかない状態から、1時間ちょいの枠で作られた、テレビシリーズが元々ある作品の劇場版アニメ」の成功例をこの目で見ておきたい
私がキンプリを見ようと決めた最終的な理由はこれです。多分あんまり居ない(全国に5人位は居るかもしれない)動機だとは思うのですが、まあこんな奴も居るよって事で…。
そうして、私はキンプリに挑みました。
結果はと言うと、全裸ハグとか尻からはちみつとかシックスパックとかハリウッド行きの電車に乗って星座になるとか事前にレポで目にしていた意味不明な未知言語の数々が全部そのまんまでまったくもって他に言い様がなかった事にめっちゃ素直に感心して、あと画面演出は本当始終すげーぶっとんでて頭おかしくて何かヤバいヤクでもキメてんの!?みたいな感じだったんですけど、未就学児向けのジャリ番アニメを見慣れてる、まるで駄目なオタク略してマダオにとっては割かし馴染み深い?ホーム感のある??頭のおかしさだったというか、何よりメインにシンプルかつド王道のストーリーがちゃんと存在していたので、各所の画面演出で「?????????」ってなりながらも、置いて行かれる事なく(所によっては有無を言わさず引き摺られながらだけど)楽しく視聴しました。素直に面白かった。続き気になる。後編も見たい。
冒頭のっけから全裸になったりハートが飛んだりきゅるんってジャンプしたり虹の向こうに飛んでいったりの演出があまりにも突飛なもんで、見てるとつい問答無用のものすごい勢いの流れにそのまま流されて思考を一切合切放棄したくなるのですが、そういう意味不明な画面演出の頭おかしさはそれはそれとして、キンプリのお話って実際すごいシンプルかつ王道で、普遍的なそれだなぁと思いました。まあそれはそれとして画面演出の頭おかしさは単純に面白かったです、すげーな、なんだあれ!!
お話の中身は本当にド王道で、超人気プリズムスタァであるオバレのプリズムショーを見て、プリズムショーの世界に魅せられた主人公のシン君が、オバレと同じ事務所に入って、先輩の背中を追い掛けながら、共に頑張る仲間と出逢って、スタァへの道を駆け上っていくサクセスストーリーだと思う。より厳密に言うと、そういうお話の序章部分というか、俺達のプリズムショーはここからだみたいな。尺の都合でダイジェスト感は各所でどうしても感じるけど、一時間に出来る事をぎゅっと詰め込んでる感じ。
画面の様子がおかしい事で否応なしに目くらましされますが、ストーリーは本当に教科書に載ってそうなレベルで超王道の物語だと思います。真面目に真摯に、誠実に大切に王道を描いた作品だなーって思って見てた。ただし画面の様子は本当に結構な割合で頭がおかしい。その頭おかしさを見て爆笑出来るか、あんまり気にせず流せるか、はたまたついていけないかで評価が分かれるのかなぁって思った。私は爆笑するか微笑みながら流すかネタによりけりどっちかって感じでした。でも絵面の頭がおかしいのにクライマックスのシーンとか普通にじんわりして嘘だろって思った。すごい。楽しかった。
自分が視聴する前は、プリズムエリートの皆さんがあまりにも口を揃えて「世界が煌めいて見える」って言ってて、且つ具体的な感想とかはあんまりなくて、一様に「キンプリはいいぞ…」だけを繰り返すマシーンになってるので、失礼ながら若干ヤバい宗教勧誘みを感じてビビっていたのですが、実際に映画を見てみたら、この「世界が煌めいて見える」って言うのも何も特別な事を言ってるんじゃなくて、大好きなアイドルや曲や作品、作中ではプリズムショーだけど対象の媒体はきっと多分どんなものでも良くて、自分にとって何か素敵な好ましいものに触れた時の、良いものを見た!見れてよかった!世界にこんなものがある事を知れてよかった!っていう、色褪せない感動の事を言ってるんだな、と思いました。多くの人は一度位は経験がある普遍的なものだし、ビビらずに実際に実像に触れてみたら、何の事はないすごく共感出来る感情だった。その台詞が流れる画面が実際にやたら滅多キラッキラ煌めいてるのは…まあ…それはそれだよ、心象風景ってやつだよ…。
実際に自分で見てみて、キンプリを見た人が言語中枢ぶっ壊れたように「キンプリは良いぞ…」しか言わなくなるのも、何となくわかりました。理屈がっていうか感覚でわかったというか、ほんと演出いちいち様子がおかしいし、ぶっ飛び方がすげーからつい何かヤクがキマってるのでは…と思うし、その勢いにひたすらぶん殴られていると考える事を止めたくなるし恍惚と言葉を放棄してしまう心境も、意味わかんないけど楽しい!って感情の発散の仕方?何だろう、昇華の仕方??として、応援上映で皆で盛り上がるのが楽しいんだなぁというのも理解出来ました。頭おかしい演出部分についてはもうそのまんまの事しか言えないというか、レポも確かにああいう単語の羅列でしか書きようがねーなこれ!と思ったし。ほんとに。
でも、お祭りの感じで楽しい気分になってわいわい皆で盛り上がるのが好きな方もいれば、一人で集中して楽しみたかったり、意味もわからず勧誘されると引いてしまうような方も中には居ると思うのです。お祭り的な雰囲気が苦手な後者のタイプの人は、前者の感想ばかり目にしているとキンプリそのものからすっと引いてしまうのではないかと思い(私も普段の全般的傾向としては後者寄りなので余計そう思う)、それはもったいないなぁと思って今これを書いています。皆で盛り上がるのが悪いって意味では全然なくて、皆で盛り上がると楽しい映画なのは間違いないと思うんだけど、別に皆で盛り上がらなくて一人で集中して楽しみたいタイプの人にもちゃんと面白い良い映画だよ、って事が言いたい。
キンプリは演出とか諸々様子は確かに頭おかしいんだけど、実際ちゃんとしたお話の筋があるし、わけわかんないところと同じ位、具体的に面白いところ良いところいっぱいあるし、だからこそ画面が最高に意味わかんなくても銀河鉄道は胸に来るんだし、シンくんのプリズムショーで皆が笑顔になるし、はっきりした言葉でも良さをちゃんと挙げられる映画だと思うので、敢えてそっちに言及するレポがあってもいいんじゃないかと思いました。言及するレポがあってもいいんじゃないかと思ったけど、実際これ言及出来てるレポにはまったくなってねーんだけどな!!日本語の達者な人来てくれ、私は日本語が不自由なんだ…日本人だけど…。
あと、ちょっとあべこべな話なんだけど、一人で見ても楽しいよ!ってのも本当に思うんだけど、それでもやっぱりキンプリがこんなに流行ったのは、応援上映にうってつけな(っていう表現が的確かはわからないけど)内容が、今の時代にすごく合ってたからなんだろうなぁとも思います。共有する楽しみとでもいうか。私が見たのは通常上映で、自分のヒキコモリ根性に満ち溢れた性分ではこっちが自分に合った選択だった事にも自信があるのですが、皆で盛り上がるのにすごい楽しい映画だろうなぁって言うのもわかりました。事前に煌めき済だった友人からも「だから、もし(お前の里が)新規でめちゃくちゃ出来の良い、関係者の愛と誠意に満ち溢れた劇場版アニメを製作していたとしても、あんな風にはなってなかったと思うよ」とは言われていたのですが、自分の目で確かめて、あー本当にそうだな…と思いました。何かこう、条件こそ似てるとこあるけど、あらゆる意味で同じ土俵には最初から居なかったんだな、前提が全然違うや、そうだよな相手は長いテレビシリーズめっちゃ重ねてるシリーズ作品だもんな、と思って兜脱いだというか、結論から言うと地縛霊になる事は免れたというか、そういう意味でも見てよかった。実際に見た事で、いくばくか呪縛から解放された。羨ましい気持ちは正直どうしても今もあるけど、身も蓋もない事言うと誠意と大事に尊重されてる感をめちゃくちゃ感じる事がもう既にしぬほど羨ましいんだけど、似たケースの成功例をこの目で直接見ておきたいって不純な動機で見たけど、本当に純粋に良い映画でした。楽しかった。
作品を心底愛するスタッフが、私のような初見のみりしら新規にも、従来のテレビシリーズのファンの方にも面白いものをと考えて、どこまでも愛をもって誠実に作られたのがキンプリという作品だと思います。理屈抜きで楽しい、意味わかんないけど楽しい、っていうのはそれだけで圧倒的パワーなんだけど、それと同時に、本当に真面目に徹頭徹尾、サービス精神とエンターテイメント精神いっぱいの、めっちゃホスピリティ高いアニメだと思う。お客さんに対しても、キンプリという劇場版作品に対しても、きっとそれ以前のプリリズ全体に対しても、キャラ一人一人に対しても、誠意の塊だと思うし、それがこれでもかと伝わって来る事が本当に心地良い。前述の通り、私はプリリズシリーズみりしら民なのですが、クライマックスで女の子達のプリズムショーが連続で画面に映る下りは、思わず見ながら泣きそうになってしまった…。この映画は何もキンプリに出て来る男の子キャラ達だけの事を言ってるんじゃなくて、テレビシリーズから続く、あちらでのメインの女の子キャラ達の事も含めて、全部を掬い上げる映画なんだなって。続いているし、これからも続いていくんだなって。門外漢の勝手な印象だから、テレビシリーズから好きでずっと追ってる方からするとまた別の感想があるのかもしれないけど。
アニメでも実在の芸能人さんでも対象は何でもいいので、何かを好きで大好きで夢中になって応援して、だけど好きで居る事に少し疲れてしまったり、大好きなのに素直な気持ちになれなくなってしまって、そんな自分が誰より自分でしんどいような人には是非見て欲しい映画です。もしかしたら忘れてしまった初心を思い出させてくれるかもしれない。いやほんと騙されたと思って。
確かに演出の様子がちょっとだいぶものすごく頭おかしいし各所にネタがふんだんに盛り込まれてはいるんだけどそれはそれというか、お話の中身は本当に王道でちゃんとしたストーリーがあるし、全編に制作サイドの溢れんばかりの愛と熱意と誠意を感じられるのがものすごく心地いい、1時間に濃縮還元された至極王道で誠実なエンターテイメントだよ。
思わせぶりにめっちゃ気になるところで終わってるのは児童向けアニメにありがちな勢い予告としてあのままでも完結させる事も出来る感じだけど、制作サイドとしてはこういう続きが作れたらいいな!但し予定は未定です!という?事??だと伝え聞いたので、後編の製作決定と公開の日を楽しみにしてます。あの客入りだったらいけるんじゃないかな、頑張って欲しい。avexさん何卒お願いします。
自分が叶えられなかった夢を誰かが叶える景色というのは、どうしようもない嫉妬に胸を掻き毟られるけど、それと同時、切なくもあたたか眩しく嬉しいものだなぁと思います。
キンプリは良いぞ。
余談:見終わって面白かったー楽しかったー続き見たいー、ってひとしきりなった後で、私は自分の大好きなあの子達に、あの色鮮やかな蛍光ピンクと綺麗なグラデーションとエゴに溢れる世界に、初めて出逢った時の、あの眩しい気持ちを思いました。条件こそ似通っててもスタート地点が何かもうマジで違い過ぎて最早比較対象にも上げられない感じだけど、それでも比較して色々思う事もあるけど、やっぱり私は自分の里が好きだから、大好きなところも飲み込み辛いところも全部ひっくるめてどうしても好きだから、こんなに振り回されるのも好きだからで、好きじゃない相手ならそもそも振り回せもしないから、大好きな子達を地道にぽちぽち応援していこうと思います。それを思い知れてよかった。ありがとう。
ほら、うちのも新規劇場版や3期は無理でも、SDアニメの続きならもしかしたらまだ夢が続いてくれるかもしれない!し!!avexさん何卒お願いします。もう円盤の発売日にも公式ツイッター動いてないけど…。あと最終回のFLATのバラードアレンジ何かに収録して欲しいです…これほんと公式のアンケートがある度に言ってるんだけど!